前前夜祭の飲んだくれ

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だいぶ前の話になるが、クリスマスイブの前の日の事。

その日バイトは大忙しだった。

クリスマスの前の前の日の昼間だ、そんな日にどうしてハンバーガーを食べたがるのか謎ではある。

人が特別な日にいつも食べないものを食べたいと思うのはわかるけど。

特別な日というのなら明日か明後日なのではとも思うのだが。

遠足は準備期間が一番たのしい。

まあ、そういうことだ。

次の日は休みだったこともあり、浮かれポンチな街の様子に私もついつられて、寿司を食べて日本酒を1升程開けた。

皆が浮かれているのを見るのはいつだって好きだ。

八州桜やしまざくら鶴岡美人つるおかびじんの4合瓶2本は美味しかった。

魚に合うという謳い文句の日本酒はたしかに後味が涼やかなもので、八州桜は鶴岡美人に比べてふくよかな旨口だった。

どちらもカクヤスで¥888だが、寿司にはピッタリでリピート確定の酒だ。

次にスルメを開けて、少し炙って、マヨネーズと何か辛いものを、と探したけれどあいにく七味が無かった。

だから代わりにピィパーズをかけたら意外にもイケた。

ただ、スルメは少しばかり焼きすぎた。

さて、酒も尽きた。

酒なしでスルメを噛みしだいてもやっぱりなんだか物足りない。

強かに飲んでふわふわ楽しい気分になって、いつものようにスコンと眠れてしまえば良かったのだが。

中々眠気はやって来なくてつい友人に電話をかけた。

とても迷惑な酔っ払いだが、遅い時間にも関わらず友人は取り止めもない話に付き合ってくれた。

しばらく話して、良いお年を、と電話を切って、それでもやっぱり眠れなかった。

それで、仕方なく外に飲みに出た。

夜中の1時だ、暗いし静かでとても寒い。

開いている店もあまりなかった。

マップに載っている適当なバーを目指してフラフラ歩いた。

そうして辿り着いた小さな地下のバーはかなり賑わっていた。

一人分だけカウンターが空いていて、そこによっこらしょ、と腰を据えた。

とりあえずモヒートを頼んだ。

季節外れなモヒートはとても美味しかった。

料理も美味しいらしいとの事だったのでトマトのパスタを頼んだら、トマトと魚介のパスタが出てきた。

茹で加減も私好みの硬めで、噂通りとても美味しかった。

この辺りからもう記憶が定かではないが、いつの間にか隣の女性とお話ししていた。

お仕事のアフターだろうか。

魚介のパスタを一口お裾分けした。

私も一口食べさせてもらった。

綺麗な女の人に食べさせてもらうパスタは格別だった。

今考えると自分がオッサン臭くてドン引きである。

オッサンに罪は無いが、オッサンの忌むべき習性には軽犯罪という名前がついている。

自戒する。

彼女は優しい声の控えめな人で、酔っ払った私の会話の中身などないに等しいものだっただろうが、取り止めもない会話は楽しかった気がする。

彼女に美味しいお酒を教えてもらったから、2杯目にはそれを頼んだ。

バラライカというそうだ。

スッキリ甘い柑橘の香りが私好みだった。

美味しかったから、3杯目もそれにしたら、少しずつ眠気がやってきた。

おかげでいつものように突然歌い出すという醜態を晒さずに済んだ。

人生でこれ以上行きづらい店を増やしたくない。

酔いにまかせて歌うというのはカリブの海賊にしか許されない酒癖なのだ。

見るともなしに周りを見ていたら、今度は逆隣の女性が話かけてくれた。

男性と飲んでいたので、この人もきっとアフターだろうと思った。

とても元気な明るい口調で、なんやかやと話を引き出してくれた。

考えてみれば仕事の邪魔をしていた可能性もある。

この日記を書いている今になって申し訳ない気分になってきた。

そのうち、常連のお客さんと思しき人達と飲み始めていた店長も、会話に加わった。

どうしてか前立腺の話をされた気がする。

もうこの辺りは輪をかけてよく覚えていない。

でも、とても楽しくて、暖かくて、眠たかったので居心地は最高に良かった事は覚えている。

眠れなくなったらこの店にはまた行くだろう。

ただ一つ、惜しむらくは、店長の印象が前立腺に興味があるという事だけしか残っていないことだろうか。

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